しくみ通信

皇紀2678年 西暦2018年 平成30年 第10の新月の日に

皇紀2678年 西暦2018年 平成30年 第10の新月の日に

 

思考を停止させる「プラスチック・ワード」

今、言葉がおかしい…これにはある意思が働いているのです。

本来、日本の言葉は美しく情緒的で、その背後には深い意味が潜んでいました。また、言葉は独自の生命を持つ言霊として味わい深いものでした。そして、言葉を頼りに互いの意思を伝え合い、感じ合うことのできる素晴らしい言語のはずでした。

 

ところが、「プラスチック・ワード(レゴ)」の登場によって、明確な意味を持たない言葉が一人歩きをし、人々は簡単に動かされてしまうようになりました。

「プラスチック・ワード(plastic word)」とは、意味をあいまいにして、いかにも新しい内容を伝えているかのように思わせる言葉のこと。プラスチックのように自由に組み合わせ、さまざまな分野で手軽に使える語で、ドイツの言語学者ベルクゼンが提唱した「国際化」「グローバル化」「コミュニケーション」などです。

 

例えば、政治家は「少子高齢化に備えて」「障がい者雇用促進」「福祉介護の充実」「商業活性化」など公約として唱えますね。行政なども同じく「高齢化社会の保険制度」「安心して暮らせるまちづくり」「子どもたちの未来を考える」といったスロガーン的な言葉に、国民や市民は自動的に納得してしまいます。コンサルタントや経営者なども「ブランディング」「マーケティング」「メンタリズム」「ポジティブ」「レジューム」「コミュニケート」「アポイント」「プロジェクト」など、わかったような、わからないような言葉によって納得させられてしまいます。

 

…しかし、伝わらない。

相手に伝わっていないのですが、発信者側はそれで良いと考えているのです。本来、言葉は伝えるものなのに、感じるだけで良く、メールでも言葉は軽く扱われています。挨拶のない文や一方的で意味の分からない言葉を並べ、しかし誤解されたくないという虫のいい話ばかり。

こうして言葉の持つ意味はなくなり、言葉の力は失われていき、人は考えなくなり、一方的に与えられる言葉や情報を信じ、コントロール(支配)されていくのです。

 

本来の美しい日本語は、短文で言葉の背後を伝える日本独自の言語です。

雨は、「雨上がり」「雨足」「雨だれ」「雨模様」「雨宿り」「雨夜」「喜雨」「滋雨」。

季節は、「雨水」「薄氷」「麗らか」「淡雪」「朧月「陽炎」「東風」「三寒四温」「残雪」「春暁」「春雷」など、数文字の言葉の響きの中に奥深い情緒を感じることができますね。

 

 

 

月日は百代(はくだい)の過客(かかく)にして行きかふ年もまた旅人なり

~松尾芭蕉『奥の細道』から

東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて蟹とたはむる

~石川啄木『一握の砂』から

おうい雲よ ゆうゆうと馬鹿にのんきそうじゃないか

どこまでゆくんだ ずっと磐城平らの方までゆくんか

~山村暮鳥『空』

清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき

~与謝野晶子の短歌

ゆく河の流れは絶えずして しかももとの水にあらず

淀みに浮かぶうたかたは かつ消えかつ結びて久しくとどまりたる例なし

~鴨長明『方丈記』から

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山

~『万葉集』から持統天皇の御製歌

田子の浦にうちいでてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ

~『万葉集』から山部赤人の歌

汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる 季節はずれの雪が降ってる

東京で見る雪はこれが最後ねと 寂しそうに君はつぶやく

~『なごり雪』から

花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに

~小野小町の歌

君がため春の野にいでて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ

~光孝天皇の御製歌

ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの

よしやうらぶれて異土の乞食となるとても帰るところにあるまじや

~室生犀星『小景異情』から

目に青葉 山ほととぎす 初鰹(はつがつお)

~山口素堂の句

小諸なる古城のほとり雲白く遊子悲しむ

~島崎藤村『小諸なる古城のほとり』から

化粧する君のその背中がとっても小さく見えて仕方ないから・・・・・・

~『雨の物語』から

夕焼け小焼けの赤とんぼ負われて見たのはいつの日か

~『赤とんぼ』から

月みればちぢに物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど

~『小倉百人一首』から大江千里の歌

一輪咲いても花は花

~ことわざ

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 

沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす

~『平家物語』から

春の海ひねもすのたりのたりかな

~与謝蕪村の句

その子はたち櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな

~与謝野晶子の短歌

諸人こぞりて迎えまつれ 久しく待ちにし主は来ませり

~賛美歌112番からから

 

三七七八米の富士の山と立派に相対峙し みじんもゆるがずなんと言うのか 

金剛力草とでも言いたいくらい けなげにすっくと立っていた

あの月見草はよかった 富士には月見草がよく似合う

~太宰治『富嶽百景』から

小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた

誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが 見つけた

~サトウハチロー『小さい秋見つけた』から

 

日本の言葉は、宇宙の音色を宿した言霊なのですね。

 

 

鶴田勝巳税理事務所 所長・鶴田勝巳の通信より