しくみ通信

皇紀2678年 2018年 平成30年 第二の新月の日に

皇紀2678年 2018年 平成30年 第二の新月の日に

 

「身を捨つる人はまことに捨つるかは 捨てぬ人こそ捨つるなりけれ」

歌集 雑 西行法師

 

乱高下が止まらない仮想通貨。仮想バブルの再来ともいわれ、一躍脚光を浴び、一瞬にして過去最大の数百億円というコイン通貨が盗まれた。

「仮想通貨」は名前の通り〈仮定として想像する〉もの。

仮想通貨がはらむ本質的な問題が、その根底にあることを忘れてはならない。

 

仮想通貨とは、「ブロックチェーン」技術を応用したインターネット上の「お金のようなもの」である。大きく分けると、ビットコインなど商品として売買されるものと、銀行が決済用に開発中のものがある。銀行が行うものであれば、国家の保証があり、国民の資産が間接的に裏付けになっている。そこが大きな違いだ。

 

問題となっているのはインターネット上の「お金のようなもの」。

一言で言えば、何の保証もない「子供銀行券のようなもの」にみんなが飛びついているのである。そして、すでにブロックチェーンの基幹技術はほぼ確立済みであるため、システム導入コストさえ用意できれば、誰でも新規参入できるのである。このため、毎日のように新しい仮想通貨が誕生しており、すでにその種類は800を超えるという。そして新たな仮想通貨の乱造により、仮想通貨そのものの信頼低下を招く原因になっている。

 

本来、『通貨の三機能』(「価値の保存」「価値の交換」「価値の基準」)という基本通貨の要件を備えていない限り、信頼性のあるお金とはいえないのだ。また、売買目的は投機であり、円やドルなど通貨に変えることを目的としている時点で保存能力があるとはいえないだろう。しかし、日本の当局は「仮想通貨」を商品とみなしているようだ。

 

仮想通貨にはもう一つの大きな問題点が存在する。

それは国家など規制当局の監視が難しく、いくらでも悪用ができてしまうのだ。インターネットという国境のない世界で利用されるため、一種の「地下銀行」として、国境をまたいだ為替取引に利用できるからだ。

 

例えば自国通貨で仮想通貨を買い、他国の市場でそれを売れば、現地通貨が手に入る。これは資金流出を恐れている国にとっては脅威なのである。そらに、その匿名性からテロ組織や犯罪に使われる側面もある。実際に、身代金を払わなければ、コンピューターを破壊するという「ワナクライ」ウイルスの身代金として、ビットコインが使われた。国家に敵対する以上、規制する動きが出るのも当然の話であり、これからG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)などで話し合われる予定である。

 

世界は素人が動かしている!素人ほど強い者はいない。

専門家が束になっても勝てない相手、それが「素人」。

専門家に本質を見えなくさせる、無駄な知識と経験こそが「思考の盲点」。

専門家になればなるほど専門性に支配されるのだ。素人も余分な知識や理論を持ち始めると、本質がわからなくなっていく。

本物のプロ(専門家)は常に初心、「素人意識()」を持ち続けている人だ。

 

長年のキャリアを自負する専門家は、充分な知識と経験の上で素人と接するのだから、自ずと「正しさ」が判断となる。しかし、それがどんなに正しくても納得できないのが素人。「正しさ」は通用しないわけだ。「正しさ」が伝わらなければ、「誤り」だと認められる者こそ、真の専門家。

 

「素人」を馬鹿にしてはいけない。

「素人」はカミサマの化身。

あなたは世界を動かす「素人」にどう伝えていくのか。

 

さて、どうなる?〈仮想通貨〉。

 

 

鶴田勝巳税理事務所 所長・鶴田勝巳の通信より