優しい嘘

優しい嘘

『大好きなパパへ』
世界で一番大好きな私のパパ。
私のパパは世界一カッコイイ。
私のパパは世界一オシャレ。
私のパパは世界一頭がいい。
私のパパは世界一優しい。
パパは私のスーパーマンです。
パパは勉強も応援してくれています。
とにかく、私のパパは最高です。
でも・・・
パパは嘘をついています。
パパは嘘をついています。
会社に勤めていると。
パパは嘘をついています。
お金を持っていると。
パパは嘘をついています。
疲れてなんかいないと。
パパは嘘をついています。
お腹なんか空いていないと。
パパは嘘をついています。
私たちは満足な生活をしていると。
パパは嘘をついています。
自分は幸せであると。
パパは嘘をついています。
ぜんぶ私のために。
パパ、愛してる。
"My dad's story": Dream for My Child | MetLife
"私のパパのお話": 〈私の子供の夢 〉メットライフ生命保険より引用

このお話は実話ではありません。
素晴らしい内容なので、ご紹介をすることにしました。
香港のメットライフ生命保険が、ネット上に企業のCMとして動画投稿したコマーシャルです。あくまでも企業サイドのイメージなのですが、あまりにも感動的なため、私は涙が出てしまいました。(わずか3分25秒のCMです。ユーチューブで見ることができます)

この話は、娘がお父さんに送った手紙です。
「…とにかく、私のパパは最高です」までの映像は、お父さんと娘がとてもしあわせそうにしている場面が続きます。少しばかり寂しげなお父さんと、その姿を静かに見つめている娘の姿が印象的です。
このCMには一切の説明がなく、娘からの手紙のテロップが流れているだけで、昔あった字幕映画のようです。

ただ、そこにはお母さんが登場しません。離婚してしまったのか、この世から去ってしまったのかは語られていません。あくまでも父と娘だけの世界が映し出されています。
勉強を教えてくれるお父さん、アイスキャンディを食べさせてくれるお父さん、レストランでお父さんと食事をする、学校の授業参観に駆けつけてくれるお父さん、いつもうれしそうな顔をしているお父さん…。

そんな大好きなお父さんに娘は手紙を渡しました。
お父さんは嬉しそうな顔をして、その手紙を開きます。
「…とにかく、私のパパは最高です」と書かれているところまでは、お父さんは笑顔でいっぱいでした。

しかし、「でも…」からは、娘は〈パパは嘘つき〉と書きます。
映像には、一生懸命に働く父親の姿が映し出されます。
仕事先でしょうか、お詫びをしています。面接に出向きますが、なかなか仕事が貰えません。毎日アルバイトをしているのでしょうか。日雇い人夫、便所掃除、ビルの窓拭き、食堂の皿洗い、職業安定所に通い、日々疲れ切っているようです。
映像をよく見ると、アイスクリームは娘の分だけ、レストランの食事も娘の分だけです。娘がお父さんに食べ物を差し出すと、お腹がいっぱいだと、首を横にふっています。
お父さんの嘘は、すべてばれていたのです…。

「パパは嘘をついています…」からのお父さんの表情はみるみるうちに、変わり始めます。
愛する娘のため、愛してくれる娘のため、お父さんは苦しくても嘘をつき続けていました。しかし、娘にはお見通しでした…。
娘はきっと苦しかったのでしょう…。
ですから、お父さんの優しい嘘に長い間つきあっていたのかもしれません。
何故って、それは、お父さんが大好きだからです。
その優しい嘘は、自分のためだと知っていたからです。
それはそうです。お父さんは、可愛い娘に心配をさせるわけにはいかないのです。
でも、娘は苦しく哀しかったのでしょう。
その想いが、お父さんにあてた一通の手紙でした。

世の中のほとんどの親は、主人公のお父さんのように嘘つきになります。
無用な不安を与えたくない…。
心配をかけたくない…。
安心させたい…。
これが親の気持ち。優しい嘘になるのです。
でも、
「…パパは嘘つき」
「全部私のために…」
と書いた娘の気持ち。それを受け取ったお父さんの気持ち。互いの思い合いが哀しくも切なく、観る者の胸をしめつけます。

「パパ、愛してる…」という言葉とともに、二人は泣きながら抱き合い、得も言われぬ希望を感じさせるラストシーンでした。


©Social YES Research Institute / CouCou

つるた勝巳税理士事務所

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